冷凍野菜、使っていますか?
買い置きしておけば保存がきいて、下ごしらえの手間なく使えるので、野菜不足解消の強い味方になってくれます。
でも、気になるのが、栄養のこと…「冷凍すると野菜の栄養素が失われるのでは?」と心配している方も少なくないようです。

さらに、2002年に中国産冷凍ほうれんそうから残留農薬が検出され、大きな社会問題となったことから、その安全性も気がかりですよね。
そこで、冷凍野菜の栄養素の状態は大丈夫なのか、安全性に問題は無いかについてみていきましょう。

冷凍野菜とは

冷凍野菜には、市販の冷凍食品と家庭で野菜を保存するためにホームフリージングで作られるものがあります。
市販の冷凍野菜は、旬の時期に収穫した野菜を、すぐに下処理し急速冷凍しているため、栄養価は落ちにくく鮮度や品質を長期間保つことができます。

ホームフリージングでは、家庭用冷蔵庫で急速冷凍や保存時の温度管理を一定に保つことが難しいため、栄養価は落ちやすく、品質は不安定になります。
今回は、市販の冷凍野菜の栄養素について詳しく説明していきます。

冷凍野菜の製造方法

冷凍野菜は、収穫された野菜を選別・洗浄・カット等の加工をしたのち、ブランチングという加熱処理をします。
ブランチングとは、90℃~100℃くらいの熱湯につけたり蒸気にあてて、野菜を軽く下ゆですることで、野菜の酵素を不活化させて保存中の変質や変色を防ぐことができます。
ブランチング後に、急速凍結をおこない野菜の細胞を壊さず保存性を高めます。

冷凍すると栄養素が減るのは誤解!?

結論から言うと、冷凍野菜の栄養価は生野菜とあまり変わりません。
加熱によって減る栄養素(ビタミンC、B群など水溶性ビタミン)はありますが、冷凍しても栄養素の変化はほとんど無いからです。

では、実際に生野菜と冷凍野菜を比べると、栄養素にどんな差があるのかを説明します。

【ほとんど差がない栄養素】食物繊維・ミネラル(カリウム、カルシウム、マグネシウムなど)

食物繊維やミネラルに関しては、冷凍による影響があまり無いため、冷凍野菜と生野菜の差はほとんどありません。

【冷凍野菜で減りやすい栄養素】水溶性ビタミン(ビタミンC、B群、葉酸)

冷凍によって栄養素が少なくなるわけではなく、冷凍野菜を加工する時に行われるブランチング(下ゆで)によって、水溶性ビタミンが水に流れ出し、若干減ってしまいます。

水溶性ビタミンの中でも、特にビタミンCは熱に弱いので、生野菜と比べると少なくなります。ただし、生野菜でもブロッコリーやほうれんそうなど、ゆでてから食べるものは、同じように水溶性ビタミンは減少するため、冷凍野菜だから少ないということはありません。

【冷凍野菜で減りにくい栄養素】脂溶性ビタミン(ビタミンA、D、E、K)

脂溶性ビタミンは油になじむ性質があり、水に溶けることがなく、熱にも比較的強いビタミンです。そのため、ブランチングによる影響を受けにくく、栄養素の損失は少なくなります。

国民生活センターの調査によると、冷凍野菜(いんげん、枝豆、里芋、ブロッコリー、ほうれんそう)について、生野菜との栄養価をそれぞれ日本食品標準成分表の値と比較した結果、冷凍野菜の栄養価に大きな損失はなかったことがわかりました。
(国民生活センター実施「冷凍野菜の比較テスト結果」より)

冷凍野菜の栄養価が高い3つの理由

冷凍野菜と生野菜の栄養価には大きな差が無いとわかりましたが、さらに、冷凍野菜のほうが栄養価が高い場合もあります。
なぜ、冷凍したほうが生野菜よりも栄養価が高くなることがあるのでしょうか?
その理由は大きく3つあります。

【理由1】収穫後すぐに冷凍するから

普段買っている野菜は、収穫してから貯蔵、運搬後、スーパーや八百屋などに並べられるまで、時間がかかります。野菜は収穫して時間がたつほどに栄養価はどんどん落ちてしまいます。
冷凍野菜は、収穫後すみやかに処理され、冷凍加工しているので、新鮮な野菜の栄養を保つことができます。

【理由2】旬の野菜を冷凍しているから

冷凍野菜は、旬の時期に収穫した野菜を使用しています。
野菜は旬のものが一番おいしく栄養価も高いといわれます。

例えば、ほうれんそうで比べると、旬の12月に採れたものは、旬ではない9月に採れたものより、ビタミンCが約3~4倍も含まれています。
季節はずれの生野菜より冷凍野菜のほうが、栄養価が高いことが多いのです。

【理由3】急速冷凍で栄養素キープ

冷凍野菜など市販の冷凍食品は生産から販売まで-18℃以下で管理されています。
食品の組織がこわれて品質が変わってしまわないように、非常に低い温度で急速凍結することで、栄養素は損なわれにくくなります。

気になる安全性は?

栄養面と同じように気になるのが冷凍野菜の安全性。
安心して使うために、なんとなく不安に思っていることを解消していきましょう。

長期保存のために保存料は使われている?

冷凍野菜は、保存料を使う必要がありません。
−18℃以下の低温で保存されているため、食品劣化や腐敗、食中毒の原因になる微生物や細菌は活動できないので、保存料などの添加物を使わずに長期保存することができます。

色鮮やかなのは着色料のせい?

家庭でゆでた野菜に比べて、冷凍野菜の色が鮮やかなので、もしかして着色料を使っているの?と思われるかもしれませんが、その心配はありません。
冷凍野菜は軽く下ゆでをするブランチング後に急速冷凍されているので、野菜の色素が変色することなく色鮮やかさがキープできます。

残留農薬は本当に大丈夫?

国産野菜を使った冷凍野菜は、厚生労働省が定めた農薬の残留基準をクリアした野菜なので、残留農薬の心配はありません。

注意しなければいけないのは、輸入冷凍野菜です。
安全性を重視するなら、なるべく原材料が国産の冷凍野菜を選んだほうがいいですが、輸入冷凍野菜でも国内の基準をクリアしたものなら安心して利用できます。
安全基準のひとつである『冷凍食品協会認定証マーク』がついた冷凍野菜を選ぶようにすると良いでしょう。

〈冷凍食品協会認定証マークとは〉

“冷凍食品認定制度は、高度な品質・衛生管理体制で商品づくりを行っていることを証明する制度で、この認定証マークは、信頼の目安です。”
http://www.reishokukyo.or.jp/certification/certificate/

栄養を逃がさない冷凍野菜の調理法

冷凍野菜は、急速冷凍によって栄養とおいしさを保ちますが、調理の仕方によっては、栄養素を逃がしてしまったり、おいしさがダウンすることもあります。
栄養とおいしさをそのままに調理するコツをご紹介します。

解凍のポイント

「急速解凍が基本」
解凍したときに、素材から水分が出ると、それと一緒に水溶性ビタミンやミネラルが流れ出してしまい、さらに食感も悪くなります。
多くの野菜は自然解凍すると、水分が出てしまうので、凍ったまま炒める、煮る、蒸すなどして急速解凍をします。
炒めるときに油ハネが気になる場合は、あらかじめ冷凍野菜に熱湯をかけて表面の霜をとっておきましょう。

調理のポイント

「加熱しすぎに注意」
ブランチングで下ゆでされているので、調理する時は生野菜の2~3割程度の時間で十分に火が通ります。
加熱しすぎると野菜本来の食感が無くなり、おいしさが半減するので気をつけましょう。

素材別!冷凍野菜の活用法

■ほうれんそう

時期によっては、生野菜よりも冷凍野菜のほうが栄養価が高くなるほうれんそう。
鉄分が豊富なので、女性に多い貧血を防ぐために積極的に摂りたい野菜です。

冷凍のままスープやみそ汁に入れたり、炒めもの、グラタンなどに気軽に使えて便利。
疲れやすい、だるいなど、貧血の症状がある方におすすめです。

■ブロッコリー

お弁当のすきまにちょっと入れると、彩りが良くなる冷凍ブロッコリーはとても便利な野菜です。
β-カロテンが豊富で抗酸化作用に優れているので、アンチエイジングや風邪予防に効果的。

水っぽくなりやすいので、解凍のしすぎに注意しましょう。
サラダ、グラタン、煮こみ、肉料理のつけ合せなど、緑黄色野菜不足の解消に。

■きのこ類

きのこ類は冷凍によってうまみ成分(グルタミン酸など)が増えるので、冷凍向きの食材です。スープ、炒めもの、炊き込みごはんなどに加えると、おいしさをアップしながら、食物繊維が豊富にとれて、便秘の解消にも役立ちます。

■グリーンアスパラ

グリーンアスパラに含まれる『アスパラギン酸』は、新陳代謝をうながし疲労回復効果に優れています。疲れがたまっていると感じたら、冷凍アスパラをサラダや肉巻き、炒めもの、つけ合わせなどに使っておいしくいただきましょう。

■かぼちゃ

かぼちゃは、皮が固いので、お年寄りや力の弱い人は包丁で切るのが大変です。
冷凍かぼちゃは、ひと口大にカットされているので、そのまま使えてとても便利。
煮もの、スープ、グラタン、お菓子にも活用できます。

冷凍野菜を購入する時の注意点

◎店頭にて

・冷凍野菜を手に取り、カチンカチンに凍っているものを選びます。
・包装に破れが無いかを確認しましょう。
・パッケージの表示で原産地名や消費期限などをチェック。

◎持ち帰る時

・ドライアイス、氷等を入れ、保冷袋に入れて持ち帰りましょう。
・氷等が無ければ、新聞紙や包装紙で2重に包み、買い物袋の中央に入れて持ち帰るようにします。

◎帰宅後

・なるべく早く帰宅し、すぐに冷凍庫に入れましょう。
・万が一、持ち帰る前に溶けてしまったら、再凍結せずになるべく早く調理して食べるようにして下さい。

冷凍野菜は長所を生かして上手に利用しよう

意外にも、冷凍野菜は冷凍することで栄養素が大きく減少することはありませんでした。
◎冷凍で栄養素は減少しない
◎ブランチング(下ゆで)で水溶性ビタミンはやや減少する
◎脂溶性ビタミン、食物繊維、ミネラルはほとんど減少しない

冷凍野菜を使う時に気をつけなくてはいけないのは、栄養素を逃がさない解凍と調理をすることでした。
◎凍ったまま調理して急速解凍をする
◎加熱は生野菜の2割程度で充分。

冷凍野菜と生野菜にはそれぞれに長所があります。
野菜をたくさん使う場合や、野菜本来の味を生かす料理、シャキシャキ感を味わうサラダなどには、生野菜が向いています。
野菜を少量使いたい時や調理の手間を省きたい時、また旬の時期以外は冷凍野菜を使えば、時短と節約にもなります。

冷凍野菜を上手に使えば、料理のレパートリーアップや野菜不足の解消にも大いに役立ちます。
ぜひ、冷凍野菜を毎日の料理に活用して、家族の健康づくりに役立てて下さいね。




参考URL

輸入冷凍野菜品質安全協議会 凍菜協「中国食品問題の報道について」
http://tosaikyo.com/topics/chinese-food-news/

独立行政法人国民生活センター「冷凍野菜の比較テスト結果」
http://www.kokusen.go.jp/news/data/a_W_NEWS_081.html

日本冷凍食品協会「冷凍食品Q&A 冷凍食品の基礎知識」
http://www.reishokukyo.or.jp/frozen-foods/qanda/qanda1/

ママテナ「冷凍した方が栄養価の上がる野菜は?」
http://mama.bibeaute.com/article/7681/