『ペットボトル症候群』という言葉を知っていますか?

ペットボトル症候群とは、清涼飲料水やスポーツドリンクを大量に飲み続けることによって起こる急性の糖尿病です。

1990年代に清涼飲料水を毎日大量に飲んでいた高校生が、ある日突然、意識障害で病院に運ばれたケースが報告され、ペットボトル症候群は社会問題として注目されました。

夏になると、熱中症の予防にスポーツドリンクなどで水分を多めにとるように心がけている方も多いと思います。
しかし、その飲み方によっては、ペットボトル症候群を引き起こす可能性があります。

最近、ひどくのどが渇いて、ジュースばかり飲んでいるなと思い当たる方は要注意です!
ペットボトル症候群とはどんなものなのか、その原因や症状、予防法について説明します。

ペットボトル症候群とは?

ペットボトル症候群は、医学的には『清涼飲料水ケトーシス』と呼ばれる糖尿病の症状のひとつです。

糖尿病の自覚のない人が、清涼飲料水などから糖分を多くとり高血糖になると、のどが渇くためより多くの水分を飲みたくなります。

そこでさらに糖分を含む清涼飲料水を飲むと、多尿になり、またのどが渇き、飲む…という悪循環が生まれます。
その結果、とりすぎた糖分を体が処理しきれなくなってしまうことが原因で発症します。

清涼飲料水は、ペットボトルで飲むことが多いので、『ペットボトル症候群』と言われるようになりました。

突然ですが、ここ1か月ほどで、次のような症状はありませんか?

1、異常にのどが渇く
2、尿の量が増えた

2つとも当てはまる場合は、糖尿病になっているかもしれません。
ペットボトル症候群を発症する危険性があるので、専門の医療機関の受診をお勧めします。

【ペットボトル症候群の原因】糖分の多い飲み物を飲み続けること

ペットボトル症候群は、糖尿病の自覚がないまま、のどの渇きにまかせて、糖分の多い飲み物を多量に長期間にわたって飲み続けることが原因で起こります。

糖分の多い飲み物とは、炭酸飲料、フルーツジュース、スポーツドリンク、甘いコーヒー飲料などのことです。
ペットボトル入りの飲料すべてが原因になるわけではなく、ミネラルウォーターや炭酸水、お茶など無糖飲料は問題になりません。

【ペットボトル症候群の症状】のどの渇き、体重減少、倦怠感、イライラ

ペットボトル症候群で、まず初めに現れる代表的な症状が、異常にのどが渇く、体重が減少する、ひどい倦怠感、イライラです。

ひどくなると、意識がもうろうとし、こん睡状態に陥ることもあります。
これは、代謝障害により、ケトーシスの症状を引き起こしている状態です。
ケトーシスとは、体内のケトン体が増えている状態で、糖尿病の中でも重症になります。

【診断の目安】1日1.5ℓ以上×1か月以上飲んでいた

ペットボトル症候群と診断される目安は、

“10%程度糖分を含む清涼飲料水(目安として、栄養成分表示で製品100g当たり炭水化物が約10g程度の飲料)を1日1.5リットル以上、1カ月以上継続飲用していること”

【ペットボトル症候群の治療】場合によっては入院も

ペットボトル症候群と診断された場合の治療は、点滴やインスリンの投与で血糖値を正常値に戻します。
場合によっては、入院して治療、回復するまで経過観察と検査が行われます。

ペットボトル症候群にならない飲み物の選び方

暑い夏に水分をとることは、熱中症予防のためにも、とても大切です。
ただし、どんな種類の水分をとればいいのかをよく覚えておきましょう。

ペットボトル症候群の危険性を高める飲み物は、糖分の多い清涼飲料水です。
そもそも、清涼飲料水にはどれくらいの砂糖が入っているのか、また、どれくらいの量なら飲んでもいいのかを説明します。

ペットボトル清涼飲料水に含まれる砂糖の量は?

まず、実際に、清涼飲料水1本(500ml)あたりに含まれる砂糖(糖分)の量をみてみましょう。

商品名 砂糖の量
コカ・コーラ 56.5g
QOOみかん 55g
紅茶花伝ロイヤルミルクティ 33g
スプライト 27.5g
アクエリアス 23.5g
いろはすみかん 21.5g

※商品ラベルの表示にある炭水化物量から計算した砂糖の量

スティックシュガー1本3gとすると、コカ・コーラ500ml中に入っている砂糖の量は、なんと19本弱!!あまりの多さにぞっとしますね。

健康に良いイメージがあるスポーツドリンクのアクエリアスにも、スティックシュガー8本相当の砂糖が入っています。

1日の砂糖の摂取量は25g未満に

清涼飲料水の適正な摂取量は決められていませんが、世界保健機構では、砂糖などの糖類を1日に摂取する総カロリーの5%未満に抑えるべきだとする指針を発表しています。

平均的な成人で、砂糖25g未満、ティースプーン6杯分程度となります。

この基準で考えると、コカ・コーラを1本飲むと、1日の摂取量の倍以上をとっていることになります。

砂糖25g未満とは、お菓子やアイスクリームなどからとる分もすべて含めた量です。
そう考えると、清涼飲料水を飲む量は、1日に500mlのペットボトル半分以下に抑えるのが望ましいといえます。

カロリーゼロやカロリーオフなら大丈夫?

ジュースを飲むのが習慣になっている人は、なかなかすぐにやめられないかもしれません。
では、ペットボトルの表示でよく見かける「カロリーゼロ」や「カロリーオフ」の飲料ならどうでしょうか?

カロリーゼロやカロリーオフの飲料は、甘みの大半を人工甘味料でつけているため、砂糖の量としてはほぼ0gです。
砂糖をとらないという点では、飲んでもいいといえます。
だから、たくさん飲んでも大丈夫かというと、そんなことはありません

金沢医科大学の研究によると、人工甘味料入りの清涼飲料水を週に 1 カップ(237 ml)以上飲む人は、全く飲まない人と比較して 1.7 倍糖尿病になりやすいことが確認されています。
カロリーゼロやカロリーオフであっても、大量に飲み過ぎることはやめましょう。

低糖、微糖、無糖はどうなの?

同じように、「低糖」「微糖」「無糖」と表示されている飲料はどうでしょうか?

「低糖」「微糖」とは、100mlあたり糖類2.5g以下、「無糖」とは、100mlあたり糖類0.5g未満の場合に表示されます。
ペットボトル1本に換算すると低糖・微糖で、12.5g程度の糖類が含まれています。
普通の飲料より糖類は少ないですが、飲む場合は1日1本以下に控えたほうが良いでしょう。

また、「甘さひかえめ」などあいまいに書かれているものは、法律で定められた基準がなく、表示だけで砂糖が少ないとは言えません。

水分補給にはコレを飲もう!

○水
○麦茶、ほうじ茶などカフェインレスのお茶
○無糖の炭酸水
○薄めたスポーツドリンクか塩ひとつまみを加えた水

水分補給にもっとも適しているのは、なんといっても水です!ミネラルウォーターや湯冷ましをのどが渇く前にこまめにとるようにしましょう。

お茶も良いですが、カフェインは利尿作用が高く、飲んでも尿が多く出てしまうので、カフェインの少ないお茶を選んで下さい。

また、炭酸飲料がどうしても飲みたい時は、無糖の炭酸水にレモン汁を少し加えると爽やかな飲み口になりおすすめです。

普段の水分補給は、水やお茶でいいですが、大量に汗をかいた後には脱水を予防するため、市販のスポーツドリンクを水で2~3倍に薄めたものか、水に天然塩ひとつまみを溶かしたものを飲むといいでしょう。

水分補給に避けたい飲みものは?

×糖分の多い清涼飲料水
×果汁ジュース
×コーヒーや紅茶、濃い緑茶など
×アルコール

清涼飲料水の中でも炭酸飲料は特に甘みを感じにくいため、糖分の量が多くなります。
また、果汁100%のジュースは砂糖が入っていないと思われがちですが、果糖が多いため、普通のジュースと変わりません。

コーヒーや紅茶、濃い緑茶はカフェインが多く利尿作用が高いので、水分補給には向いていません。

さらに、アルコール類は特に利尿作用が高いため、たくさん飲んでも水分補給にはなりません。
お酒を飲む時は、お酒の合間と飲んだあとに水分も一緒にとるようにしましょう。

水分はどれくらいとればいい?

1日に必要な水分量は、成人でおおよそ2.5リットルですが、食べ物などからとる量を引くと、水分としてとらなければならないのは、1.2リットル程度となります。
つまり、ペットボトル(500ml)で2.5本弱です。
運動をしたり、暑い時期で汗をたくさんかいた時などは、追加でさらに水分が必要になります。

炭酸ジュースの飲みすぎを防ぐ「ソーダ税」導入?!

ペットボトル症候群は、元気な人が、突然、呼吸困難や意識不明になり救急車で運ばれることもある怖い病気です。
ひどい喉の渇きや多尿、倦怠感などの症状がある場合は、まず病院で糖尿病の検査を受けるようにして下さい。

症状がない人も、水分補給に清涼飲料水をたくさん飲むのはやめて、水、カフェインレスのお茶、無糖の炭酸水などを飲むようにしましょう。

最後に、アメリカで導入された「ソーダ税」についてご紹介します。

アメリカでは肥満が社会問題となり、その原因のひとつである加糖飲料の飲み過ぎを抑制するために「ソーダ税」が導入されました。

ソーダ税とは、加糖飲料に対して一定の税金を課して、その消費量を抑制することで、肥満、糖尿病、虫歯の患者数を減らす目的があります。

ソーダ税では、加糖飲料1オンスあたり1セントから2セントの税金が課されます。
日本で考えると、500mlのペットボトル飲料に約20円の税金がかかるということになります。

アメリカでは、2015年1月にカリフォルニア州バークレー市で初めて導入され、その後、アルバニー市など複数の群や市で導入されました。

加糖飲料の飲み過ぎは、国を挙げて防がなくてはいけないほど、健康を害する問題となっています。
日本では、導入される予定はありませんが、糖尿病患者数の増加はすでに問題視されているため、このような税金が課される日がもしかしたら来るかもしれませんね。

清涼飲料水は、コンビニや自動販売機などで、いつでも簡単に安く手に入ります。
そのため、知らず知らずのうちに飲み過ぎてしまうものです。

ペットボトル症候群を引き起こす糖尿病や肥満を防ぐためにも、水分補給で糖分をとりすぎないように意識することが大切です。

参考URL

一般社団法人全国清涼飲料工業会「知る・学ぶ」
http://www.j-sda.or.jp/learning/kashikoku/kashikoku-p03.php#pet

日本コカ・コーラ株式会社「よくあるご質問」
http://j.cocacola.co.jp/info/faq/detail.htm?faq=18064

日本コカ・コーラ株式会社「製品情報」
http://www.cocacola.co.jp/brands/minute-maid

金沢医科大学医学部公衆衛生学 櫻井 勝「5. 人工甘味料と糖代謝」
http://www.wound-treatment.jp/new-data/2016-0205/6.pdf#search=%27%E4%BA%BA%E5%B7%A5%E7%94%98%E5%91%B3%E6%96%99+%E7%B3%96%E5%B0%BF%E7%97%85%E5%AD%A6%E4%BC%9A%27

独立行政法人農畜産業振興機構 国際情報センター
「ソーダ税が各地に広がりを見せ、合計7つの自治体で導入へ(米国)」
https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_001751.html