動物性タンパク質を摂るなら肉と魚どっちが良いの?

タンパク質は、健康な体を作るのに欠かせない栄養素のひとつです。

最近では、筋力トレーニングで体づくりをするためや、糖質制限ダイエットのために、食事やサプリメントでタンパク質を多くとるように心がける人が増えています。

トレーニングやダイエットをしなくても、タンパク質の不足は、健康や美容を損なう大きな原因になります。
年齢、性別を問わず、不足なく摂ってほしい大切な栄養素です。

タンパク質が豊富な食品には、動物性の肉や魚と、植物性の大豆製品などがありますが、なかでも動物性タンパク質のとり方が重要です。

普段の食事で効率的にタンパク質をとるには、肉と魚のどちらを食べたほうが良いと思いますか?

「やっぱり肉でしょ!」とか、「ヘルシーな魚のほうがいいのでは?」など、いろいろな意見がありますが、本当のところはどうなのでしょうか。

そこで、今回は、肉と魚のタンパク質にはどんな違いがあるのか、どちらを食べたほうが健康に良いのかを解説していきます。

タンパク質ってどんなもの?

はじめに、そもそもタンパク質とはどういうものかを説明します。
タンパク質は、炭水化物、脂質とともに三大栄養素のひとつで、人だけでなく、すべての動植物の細胞の原料になる成分です。

英語ではproteinといい、名前の由来はギリシア語の「プロテイオス」といわれ、最も大切なものという意味になります。

タンパク質の役割

1.体のあらゆる組織を作る材料になる

タンパク質は、筋肉や臓器、血液、皮膚、爪、髪の毛など、体のあらゆる組織を構成する材料になります。

2.酵素やホルモンなど体の機能を調整する成分になる

体内の代謝や体温調整などのはたらきを助ける酵素やホルモン、神経伝達物質などもタンパク質から作られます。

免疫物質もタンパク質の一種で作られ、病気や感染から体を守り治癒力を高めます。

3.エネルギー源になる

タンパク質1gあたり約4kcalのエネルギーを生み出して、生命活動を行うためのエネルギー源として使われます。

タンパク質の必要量

1日あたりのタンパク質平均必要量は、18歳以上男性で1日50g、女性で40gですが、成長期や妊娠中はさらに多くのタンパク質が必要となります。

タンパク質摂取の上限量は決められていませんが、とり過ぎると、エネルギー過多になるため、1日あたり18歳以上で体重1㎏につき2.0g未満にとどめるようにします。(厚生労働省「日本人の食事摂取基準2015」より)

タンパク質が不足すると
・体力や思考力の低下など体全体の機能低下につながる
・免疫力が低下して病気への抵抗力が弱くなる
・乳幼児や成長期の子供の場合、成長障害が起こる

タンパク質をとりすぎると
・とりすぎた分は尿中の排泄されるため、腎臓に負担がかかる
・糖の代謝を担うインスリンのはたらきが悪くなる
・カルシウムの排泄が増えるため、骨が弱くなる骨粗しょう症につながる可能性がある

タンパク質は動物性・植物性の2種類ある

タンパク質は多くの食品に含まれていますが、大きく分けて動物性と植物性の2種類になります。それぞれの特徴や違いをみていきましょう。

1)動物性タンパク質

■肉類
牛肉、豚肉、鶏肉などのなかでも、脂身の少ないものほどタンパク質が豊富。

■魚介類
魚、貝類、甲殻類などのなかでも、マグロやカツオなどの赤身に豊富。

■卵
卵白にタンパク質が多く含まれます。
漢字では「蛋白質」と書きますが、「蛋」は卵を意味する言葉であり、タンパク質を含む食品の代表とされてきました。

■乳製品
牛乳やチーズ、ヨーグルトなどの乳製品に豊富。

2)植物性タンパク質

■大豆
昔から「畑の肉」といわれる大豆はタンパク質の宝庫。

■大豆製品
大豆が原料となる豆腐や厚揚げ、納豆などもタンパク質が多い食品。

■穀類
米や小麦粉などの穀類やトウモロコシなど、穀類にもタンパク質が含まれます。

ただし、必須アミノ酸のリジンが少なく、単体では効率よくタンパク質摂取ができないため、リジンを含む鰹だしや味噌(大豆)を使った味噌汁と一緒に食べるのが良い組み合わせです。

「良質なタンパク質」とは?

「健康のために良質なタンパク質をとりましょう」とよく言われますが、『良質なタンパク質』とはどのようなものでしょうか?タンパク質の質を評価する方法について説明します。

体内にあるタンパク質は、数百万種類あるといわれますが、わずか20種類のアミノ酸がさまざまな形でペプチド結合して作られます。

アミノ酸の中には、体で合成できないので、食事からとらなくてはいけないものが9種類あり、必須アミノ酸と呼ばれています。

必須アミノ酸を適切な割合で含むものを「良質なタンパク質」といいます。

タンパク質の質は「アミノ酸スコア」でわかる

必須アミノ酸9種類が含まれる割合を示す数値を「アミノ酸スコア」といいます。
アミノ酸スコアが100、または100に近いほどタンパク質の質が良いと評価できます。

おもな食品のアミノ酸スコア

牛肉・豚肉・鶏肉 100
鶏卵(全卵)   100
牛乳       100
アジ・サケ・イワシ100
大豆     100
アサリ       84
タコ     67
精白米    61 
小麦粉    42
じゃがいも  73
とうもろこし    69

動物性タンパク質の肉類、魚、卵、牛乳は、アミノ酸スコアが100でタンパク質の質が高いことがわかります。

植物性タンパク質では、大豆のアミノ酸スコアが100ですが、ほかは40~80程度となっています。

この結果から、動物性タンパク質のほうが、植物性たんぱく質より、質が高いといえますが、栄養バランスを考えると、動物性のものだけにかたよらず、植物性のものも食べるようにしましょう。

肉と魚、タンパク質をとるならどっちが良いの?

タンパク質のアミノ酸スコアから、植物性タンパク質より動物性タンパク質のほうが、質が高いことがわかりました。

では次に、動物性タンパク質の肉と魚を比べてみましょう。

肉と魚、タンパク質の違い

動物性タンパク質の肉と魚は、どちらもアミノ酸スコア100で、良質なタンパク質といえますが、健康のためには、どちらを摂ったほうがよいのでしょうか?

肉と魚のタンパク質の特徴から良い点と良くない点を比べて検証します。

肉のタンパク質の特徴

◎良い点

温度変化の激しい環境で生息する陸上動物のタンパク質なので、加熱や冷凍しても壊れにくく質が良い。人に近いタンパク質バランスでアミノ酸スコアが100になる。

×良くない点

良質なタンパク源だが、種類や部位によっては、脂肪分が多く、中性脂肪を増やす飽和脂肪酸を含んでいる。脂肪の多い牛サーロインや豚バラ、皮付き鶏肉などを多く食べると、エネルギーのとり過ぎになる。

タンパク質を多く含む肉類(100gあたりのタンパク質量)

鶏ささみ・・・23.0g

豚ヒレ肉・・・22.8g

鶏ムネ肉(皮なし)・・・22.3g

牛モモ赤身肉・・・21.9g

魚のタンパク質の特徴

◎良い点

良質なタンパク質をはじめ、EPAやDHAといった多価不飽和脂肪酸を多く含みます。

EPA(エイコサペンタエン酸)とDHA(ドコサヘキサエン酸)は、アジやサバなどの青魚に多く、抗血栓作用があり、血中脂質のバランスを整えるなどの効果があります。

×良くない点

魚介類は温度変化が少ない水中で生息するため、タンパク質の構造が弱く、加熱や冷凍によって変化しやすく、質が落ちやすい。
魚はアミノ酸スコア100だが、アサリやタコなど魚介類はアミノ酸スコアが低くなる。

タンパク質を多く含む魚類(100gあたりのタンパク質量)

黒マグロ赤身・・・26.4g
初ガツオ・・・25.8g
戻りガツオ・・・25.0g
マカジキ・・・23.1g
紅鮭・・・22.5g

肉と魚のタンパク質で大きく違うのは、含まれる脂肪の性質です。

肉の脂肪に含まれる飽和脂肪酸は、中性脂肪やコレステロールなどの材料になるため、とりすぎると血液中の脂質のバランスが悪くなり、肥満や動脈硬化の一因になってしまいます。

しかし、魚の油に含まれる不飽和脂肪酸には、血中脂肪のバランスを整える作用があるため、コレステロール値を下げるなど健康によい効果をもたらします。

【結論】肉と魚はどちらも良質なタンパク源!ただし年代によってとり方を変える

肉と魚はどちらもアミノ酸スコアが高く良質なタンパク源ですが、脂肪の性質の違いから、年代によって、とり方を変えるのが、健康的な摂取方法としておすすめです。

メタボが気になる中年層は「魚」からタンパク質をとろう

40代から50代は、いわゆる中年太りになりやすく、中性脂肪やコレステロール値、腹囲やBMIなどの健診結果が基準より高いメタボリックシンドロームと指摘されることが増えてきます。

この世代は、外食する機会も多く、食欲もあるため、タンパク質の摂取が肉に偏りがちです。

肉類中心の食事は、脂質のとり過ぎにより生活習慣病につながりやすくなります。意識して魚料理をとるようにして下さい。

栄養不足になりやすい高齢者は「肉」からタンパク質をとろう

高齢になると、食が細くなり、栄養の吸収効率も悪くなるため、栄養不良に陥りやすくなります。

栄養不良になると老化が進み、脳卒中や心臓病、認知症のリスクが上がります。

肉から得られる良質なたんぱく質は、免疫力をつけて病気を予防したり、筋肉をつけて転倒による骨折を防ぐなど、老化を遅らせるはたらきがあります。

65歳を超えたら、積極的に肉からタンパク質をとるようにしましょう。ただし、脂肪の多い肉ではなく、低脂肪高たんぱくの牛赤身肉や豚ヒレ肉、鶏肉などを選んで下さい。

まとめ

タンパク質について、肉と魚のどちらをとったほうが良いのか、それぞれの特徴を比べながら検証してきました。

肉、魚ともに、良質なタンパク源として、私たちの健康作りに必要なものですが、それぞれに含まれる脂肪の質が違うため、年齢によってとり方を変えていく必要があるとわかりました。

肉と魚のタンパク質には、どちらも良い点と良くない点があり、どちらが優れているというものではありません。

肉と魚を1対1の割合で1日おきに、交互に食べるのが、もっとも理想的といわれています。

また、肉や魚以外にも、卵、豆腐、ヨーグルトなど、いろいろな食材からタンパク質をとることが、過不足なくバランスよくとるポイントです。

参考URL

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2015 年版)の概要」P8たんぱく質

http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10904750-Kenkoukyoku-Gantaisakukenkouzoushinka/0000041955.pdf

みつばち健康科学研究所「高齢者こそたんぱく源を 肉と魚の食べ方」

https://www.bee-lab.jp/interview/shirasawa/16.html

参考書籍

新星出版社「栄養のキホンがわかる本」舛重正一監修